忍者ブログ

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

こんばんわ!
akieem zawadiです。



本日は会社近くの「イメージフォーラム」にてエチオピアの
激動を描いた「TEZA(テザ)」を観てきました。
今回はこの映画の感想と紹介を含め書いていこうと思います。


「三千年の収穫」で知られるアフリカを代表する巨匠ハイレ・ゲリマが描く
自らの人生を色濃く滲ませた本作品は、アフリカのみならず世界中に偏在する危機を
描いたと評され、ヴェネチア国際映画祭やロッテルダム国際映画祭など
世界の20以上の映画祭で多くの賞を受賞した傑作である。

140分の長編でありながら、まったくその長さを感じさせない映像美。
朝もやに煙る農村の朝、特に朝日、夕日の映るタナ湖と主人公の逆行の構図。
ゆったりとした間がいつまでも眺めていたいという気分にさせる。
それはスクリーンの中に入ればそこにエチオピアの農村があるのではないかと
思わせるような美しさだった。

しかしながら、その美しさとは裏腹に主人公の人生はエチオピアの激動の歴史に
翻弄されてゆく。

時代はさかのぼり、主人公の父親が生きていた時代、
長年続いていたイタリアの植民地化は打ち砕かれエチオピアは独立を果した。
皇帝がエチオピアに復帰し、侵略から復興したエチオピア帝国は、
国家の発展に寄与する人材を育成するために若者を積極的に海外に留学させた。

その一人が主人公のアベンブルだ。

ドイツに留学しながら政治的運動に身を投じ、革命を図る医学生アンベルブル。
親友のテスファエ率いる革命同士で人種関係なく議論し合う日々。
ついには皇帝ハイレ・セラシエの支配からマルクス主義を標榜する
メンギスツ軍事独裁政権に取って代わったエチオピアの政変を目の当たりにする。

しかし、この「革命」が次々と大事な人の命を奪ってゆく。

目の前で処刑される友人、虐殺にあう友人。
この時代エチオピアは混乱をきたし、革命に反論したものはみな投獄されるか殺された。
アベンブルのような知識人と呼べる階層もターゲットとされたのだ。

その虐殺された人数は50万人とも言われる。

この映画の特徴は政治的な差別、人種的な差別、階層的差別、性的差別が
入り混じっている所にある。これはアフリカにおける遠い国の問題の話ではない。
ドイツでベルリンの壁崩壊後にアベンブルが白人の差別主義グループからリンチをされ
挙句に窓から投げ落とされるシーンは現代における差別主義の象徴が描かれている。

この映画を見ると、1人の人生における差別的要素は
政治的なものばかりではないということが分かる。

冒頭で述べた優美な農村のゆったりした映像と記憶に残る残虐な血なまぐさい映像が
織り交ぜてありながら見る側をまったく混乱させないまま希望のラストを迎える。

美しい映像と混乱を極める激動の歴史、そこに男女の恋愛模様がさらに映画を
叙情的で人生の機微の裏打ちされた深みのある作品に仕上げている。

カメルーン出身の元恋人カサンドラはアベンブルの子を中絶し姿をくらます。
しかし、対して村へ帰ったときに出会った謎の女アザヌは
アベンブルの子を竜伝説の洞窟で産み落とす。

お互いの過去の悲しみを打ち明けあう二人の恋はあまりに危うく切なくそれゆえに
お互いを必要としあう愛に満ちた瞬間(とき)が観客の目に涙を浮かばせる。
パピルスの小船に乗り煌く湖面を小島へ向かう二人の美しい情景が今もまぶたを離れない。

希望のラストは迫害されて役に立たないと思われた知識人としての役割にアンベルブルが
気づき、竜の洞窟の伝説と独特の歌声に乗って人生の夜明けともいえるラストを迎える。


ちなみに「TEZA(テザ)」とはエチオピアの言葉アムハラ語で
「朝露」と「幼少期」を意味する言葉。
主人公の人生を見事に集約した素晴らしいタイトルである。


この紹介分を読んで興味が出た方、
オススメなのでぜひ映画館へ足を運んでみてください!



-----------------------------------------------------------------

■『TEZA(テザ)』オフィシャルサイト
http://www.cinematrix.jp/teza/index.html
 
------------------------------------

CAST

■監督・脚本:ハイレ・ゲリマ 
■製作:ハイレ・ゲリマ、カール・バウムガルトナー 
■共同製作:マリー=ミッシェルグラベル・カットラン、
フィリップ・アヴリル アソシエート・
プロデューサー:ヨアキム・フォン・メンゲルシャウゼン、ソロメ・ゲリマ 
■撮影:マリオ・マシーニ 
■編集:ハイレ・ゲリマ、ローレン・ハンキン 
■美術:パトリック・デシェスネ、アラン=パスカル・フーショー、スユム・アヤナ 
■音楽:ヴィジェイ・アイヤー、ジョルガ・メスフン 
■出演:アーロン・アレフェ、アビュユ・テドラ、テジェ・テスファウン、
タケレチ・ベイエネ、ネビユ・バイエ、ウヒブ・バユ、
アラバ・E・ジョンストン=アーサー、ヴェロニカ・アヴラハム、
メンギスツ・ゼラレム 
■製作:Negodgwad Productions / Pandora Film Unlimited / Westdeutscher Rundfunk / Arte

2008年|エチオピア=ドイツ=フランス|アムハラ語・英語|カラー|35mm|140分


STORY

■帰郷、母のもとへ ―1990年

生まれ故郷であるエチオピアの荒涼とした村へ帰郷したアンベルブル。
その姿は片方の足を引きずり、疲れ果てた様子だった・・・。
時は1990年。村には年老いた母と、その母と同居するひとりの女性、アザヌが待っていた。
アンベルブルの兄をはじめとする村人たちの見下すような目が刺さる。


■希望を胸に―ドイツ 1970年代

医者を志し、故国を離れドイツに留学したアンベルブル。
そこには同じ志を持ち、夢を語る仲間達もいた。
恋人のカサンドラ、親友のテスファエとその白人の恋人ギャビ。
ギャビはテスファエの子を身ごもっていた。
カサンドラはテスファエとギャビに白人社会で黒人が生きる困難さを説く。
外国で暮らす、エチオピア人の彼らにも祖国の変化が少しずつ忍び寄って来ていた。

エチオピアの政変。

皇帝ハイレ・セラシエの支配からマルクス主義を標榜する
メンギスツ軍事独裁政権に取って代わった故国の姿。遠く離れたドイツで
テレビに見入るアンベルブルたち。
「革命」を叫ぶ仲間もいたがアンベルブルは懐疑的だった。
テスファエとギャビの間にはテオドロスという男の子が生まれていた。
テスファエは家族をドイツに残し、新しい国づくりのために
エチオピアに帰国することを決意していた。
そんななか、カサンドラもアンベルブルの前から姿を消してしまった。
その後の足取りは全くわからない。
アンベルブルはカサンドラが彼の子供を中絶していたという事実を
ギャビから聞かされることになる。


■革命を夢見て―アディスアベバ 1980年代

テスファエが帰国してから数年後、祖国の革命の波に飲まれるように
アンベルブルはエチオピアに帰国した。アディスアベバの空港は軍隊が警備し、
街中のいたるところで見かけるマルクスの肖像に
違和感を覚えながらも課せられた仕事をこなす日々。
しかし、そこで目にしたのは、人間性や社会的価値が奪われた祖国の疲弊した姿だった。

密告と粛清が吹き荒れ、知識層と労働者の階級の対立が目立つようになり、
喪失感と自身の無力さを実感するアンベルブル。そんな彼も反革命分子として
尋問にかけられ自己批判を求められる。「この国で生きるためには仕方がない」
とテスファエに説得され、アンベルブルは自己批判に応じる。
留学で学んだ知識を祖国の医療改善に役立てたいという彼の夢は、
科学者をも政治目的で利用しようとする軍事政権により潰されてしまう。

そんな矢先、たったひとり信頼を寄せるテスファエが、研究所の中で過激分子によって
虐殺されてしまう。絶望の淵にたつアンベルブル。自分も殺されてしまうのか? 
兵士に連行され死を覚悟するアンベルブルだったが、
殺されたテスファエに代わって東ドイツ行きを命じられる。

アンベルブルは東ドイツに着くなり、
テスファエの死を家族に伝えるためにベルリンへ向かう。
しかしギャビとテオドロスに会ってもなかなか事実を伝えられない。
成長したテオドロスは白人の社会で黒人の自分が生きていく困難さを自覚していた。
そして、アンベルブルはそのベルリンで暴徒に襲われ、
建物の窓から落とされて片方の足を失ってしまった。


■絶望から始まる未来

片足を失い、絶望したアンベルブルは安らぎを求めて故郷の村に帰ってきた。
この都会から離れた村にも軍政と、反メンギスツ勢力との内戦の波が届いていた。
若者は軍によって強制的に戦場へ駆り出されている。

村の長老たちは、アンベルブルが悪霊に取り憑かれていると思いこみ、
悪霊を祓う儀式を繰り返す。
母と暮らす、謎の女アザヌの存在も村人たちにとっては疎ましい。
そんな村人たちに見下されるアザヌの姿がどこか自分自身と重なり、
惹かれていくアンベルブル。

村に戻ってから、アンベルブルには幼少期の記憶と大地の霊のような夢に
さいなまれるようになる。
村の近くには大きな湖があり、そこには大きな島があった。
その島の洞窟には徴兵から逃れようとする少年たちが隠れて暮らしていた。
その洞窟はその昔、エチオピアとイタリアの戦争から
逃れた者たちが身を隠していた場所でもあった。
その島は、アザヌが村人の侮蔑的な扱いから逃れ、
安息を得ることができる唯一の場所でもあった。
アザヌはアンベルブルを島に連れていく。アザヌが秘密の過去を明かす。
アザヌは自分の子どもを自らの手で殺していたのだった。
振り返りたくない過去の記憶を共有するかのように惹かれ合うふたり。
そして、結ばれることになる。

独裁と暴力の影が色濃く迫ってきた。アザヌはアンベルブルの子を身籠もっていた。
結婚もせずに妊娠したことが明るみになって、
村人は魔女狩りのようにアザヌを探し始める。
アザヌとアンベルブルを島に逃がす母の姿があった。

島の洞窟で産気づくアザヌ。それを見守る子どもたち。
この洞窟には竜が住んでいたという神話が残っていた。
赤ん坊の産声が響く。喝采を叫ぶ子どもたちとアンベルブル。

この国に未来はあるのだろうか。その先に見えてくる希望の光とは。


------------------------------------






La leo litende leo
akieem zawadi
PR
Name
Title
Mail
URL
Comment
Pass
Pictgram
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

 

Profile

HN:
Akieem Zawadi
性別:
非公開
職業:
ARTIST
趣味:
散歩 ・小説書・ 涙を流すこと
自己紹介:

海外のファンが多く、色彩感覚と切り取る目線がその人気の鍵。

日々の考えや恋愛、食べ物、読み物、音楽、アートとあらゆることに関してエッセー調に書き綴っている。

夢は、世界中の夕日と朝日を愛する+1と見に行くこと。世界中のあらゆる食べ物を食べ歩くこと。

 

Calendar

03 2017/04 05
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30

 

Counter

 

Bar-code

 

Blog Search

 

ANALYZE