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赤い爪と鳴り響く氷

冬のある日の正午過ぎに

私は久しぶりに散歩へ出た。

寒波の冬には珍しくその日は

来ていたダウンを脱ぎたくなるような

暖かさだった。

私は「春の兆し」を探しに

久しぶりの散歩出たのだった。

枯れくちゃくちゃになった

もみじがパリパリと音をたてる。

池の淵には薄っすらと氷が張っている。

しかし、その池の淵に赤くて細い枝の先に

私は見つけてしまった。

「春の兆し」を。

それは小さな蕾。

赤くて小さくて、赤ちゃんの指の爪のような

かわいいかわいい蕾を。

私は思わず指でなでていた。

赤くて可愛い爪のような蕾たちを。

小さなくせに勢いのある蕾たちを。

精一杯生きているんだと背伸びしている蕾たちを。

なんと愛おしい姿だったことか。

水面の反射光が私に呼びかける。

ハッと我に返り

また散歩をしだした。

すれ違う犬たちが

興味ありげに私を見上げては去っていく。

すると小鳥のさえずりのような音が遠くから聞こえてきた。

ヒョゥン、ヒョンヒョゥン、ヒョン、ヒョン。

ヒョゥン、ヒョンヒョゥン、ヒョン、ヒョン、ヒョン...

どんな鳥なんだろうと足早に音のするほうへ近づいていくと

子供たちが池に向かって小石を投げていた。

私はそこで不思議な光景を見た。

先ほど私が小鳥の声だと思っていた音は

なんと石切をしていた子供たちの投げた石が

凍った池の氷にぶつかった音だったのだ。

子供たちはこの音が不思議で飽きずに何度も

石を投げ続けていたのだった。

私もソワソワし出し

辺りに小石がないか探し出した。

探した小石を思い切って池に投げてみた。

ヒョゥン、ヒョンヒョゥン、ヒョン、ヒョン。

私の胸は高鳴った。

もう一度。

もう一度....

何度も投げてみた。

子供たちに混ざって聞く不思議な音。

もっと大勢の人がやったら、

小鳥のオーケストラになるのに。

今しかできない

小鳥のオーケストラ。

しかし、大人で小石を投げているのは

私一人だけ。

諦めて道を歩くと

大量に氷の上に小石が投げられて

いるところがあった。

あぁ、誰かが試したな、と思わず微笑む。

でもきっと知らない大人たちは

なぜ、こんなに

氷の上に石が落ちているんだろう

と首をかしげてしまうことだろう。

あの音はあの時にしか

試した者にしか

聞けない音。


物怖じせず

年齢も

性別も

関係なく

試してみた者のみが

聞ける音。


私はだからやめられない。

散歩をして

季節と季節の

つなぎ目を探すことを。


愛らしい

平和な瞬間を見逃さないことを。

そして、みつけた瞬間を

文字に起こすことを。


さぁ、あなたも

ダウンを着て外へ出てみて。

きっとあなただけの

季節や瞬間と

出会えるはずだから。








(著:夢澤 日秋)
 La leo litende leo
 akieem zawadi
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HN:
Akieem Zawadi
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非公開
職業:
ARTIST
趣味:
散歩 ・小説書・ 涙を流すこと
自己紹介:

海外のファンが多く、色彩感覚と切り取る目線がその人気の鍵。

日々の考えや恋愛、食べ物、読み物、音楽、アートとあらゆることに関してエッセー調に書き綴っている。

夢は、世界中の夕日と朝日を愛する+1と見に行くこと。世界中のあらゆる食べ物を食べ歩くこと。

 

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